第8章 限定期間
私と誠一の結婚式の時は、誠一の母親の希望もあり、私は白無垢と色打掛を着せられたのを覚えている。
ウェディングドレスは淡いピンクだった。
本当は、白いウェディングドレスが着たかったのだが、却下されたのだ。
白無垢を着るのだから、白のウェディングドレスは必要ないだろう。
そんな意見を誠一の母親から言われたのだった。
しかし、今でも感じるのだが、やはりウェディングドレスは白が一番花嫁を綺麗に美しく見せてくれると私は思っている。
結婚式とは、ある意味、とても面倒くさいと感じてしまう。
披露宴の時などは、着物の着付けがかなりキツクて食事も食べられなかったのだ。
折角出された、料理を一口も食べられずに披露宴は終わったように思う。
それに、結婚式とは莫大な費用が掛かる。
それは、お葬式も同じかも知れない。
私と誠一の結婚式の費用は、確か250万ちょっとだったと思う。
今の相場からしたら、安いかも知れない。
それに、最近はフォトウェディングが流行っているので式を挙げない人も多くいると聞いた。
私の父はもう他界していなかった。
父の葬儀の費用は250万だったと記憶している。
結婚式も葬儀もそれなりにお金が掛かるものなのだ。
そんな、大変な結婚式を前にしていたのだ。
トオルも忙しかったのだろう。
確か、トオルとこんなLINEのやり取りをした覚えがある。
「美都、結婚式って大変だね…」