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青い果実

第5章 北鎌倉



「ありがとう…」

私は、トオルからそう言われると、嬉しさと恥ずかしさでいっぱいになった。

「じゃ、最初にどこに行こうか?」
「どこにしようかしら?」

北鎌倉と言えば、駅を降りた直ぐのところに豊かな緑に囲まれた『円覚寺』がある。
鎌倉市山ノ内にある『円覚寺』は鎌倉幕府の8代目執権、北条時宗が1282年に創建したものだ。

開山したのは無学祖元(むがくそげん)と言う僧らしい。

鎌倉時代に2度にわたりモンゴル帝国への侵攻『蒙古襲来』で戦没した霊を弔うために建てられた臨済宗のお寺なのだ。

「まずは、円覚寺に行ってみない?」
「そうね…」

この頃になると雨は止み始めていた。
駅を降りると徒歩1分程度で左に入り口の階段が見える。

その階段を上り、総門の先にある受付で拝観料を収めた。
拝観料は、大人300円。子供は100円だ。

さらに、階段を上ると両脇に桜の木がある。
春になるとこの桜が満開になり、とても美しいらしい。

円覚寺の境内はかなり広い。
私たちが行った時、牡丹の花が綺麗に咲いていたのを覚えている。

春牡丹が咲くのは4~5月だと言われている。
寒牡丹は11~1月頃らしい。

そして、冬牡丹は1~2月頃に咲くらしいのだ。
私とトオルが円覚寺に行ったのが確か10月下旬頃だったと思う。

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