第5章 北鎌倉
誠一を寝かしつけると私は、LINEを開いた。
トオルからLINEが来ていたのだ。
「美都、大丈夫だった?」
「ええ、夫は風邪を引いたみたいだったから、お粥を作って食べさせて寝かせたわ…」
「大した事なくて良かったね…ところでさ…」
「なに?」
「来週の土曜日に北鎌倉にいかない?」
「北鎌倉?」
「そうだよ、北鎌倉から鎌倉まで散策しながらデートしようよ…」
誠一にはエリと一緒に鎌倉に行くことは伝えてある。
土曜日は行けるだろうと、私は思っていた。
「大丈夫よ、一緒に行けるわ…」
「なら、北鎌倉に午前10時に待ち合わせはどう?」
別に、私は構わないと思った。
「ええ、大丈夫よ…10時に北鎌倉の改札出たところで待ってるわ…」
「美都、ありがとう、会えるの愉しみにしてる…」
そんな会話をしてから私はLINEを閉じた。
今日は金曜日だ。
トオルにまた来週の土曜日に会えるのだ。
私は、嬉しさを隠せなかった。
何しろ、私とトオルの関係は期間限定なのだ。
正直、時間がなかった。
トオルが結婚するのは来年の4月だったのだから。