第3章 誘い
トオルはまだ25歳なのだ。
セックスの関係があるのは、今付き合っている彼女だけだろう。
25歳と言う若さで、人生たったひとりだけしか女性を知らなかったとしたらどうだろう。
男として、一生後悔するのではないだろうか。
私にも、その気持ちが痛い程理解できた。
私だって、誠一だけしか男性を知らなかったとしたら、後悔したに違いない。
もっといろんな人と恋愛したいと思うのが普通ではないだろうか。
ましてや、トオルの様な男は恋愛しないと死んでしまうような気がしたのだ。
トオルも私も恋愛体質だと言える。
とても、惚れっぽいのだ。
「トオルくんのその気持ち、良くわかるわ…」
「美都、分かってくれる?」
「ええ、理解できるわ…」
「だったら、俺と付き合ってよ…」
私は少し迷ったがこう答えた。
「いいわ、でも、私には夫がいることを忘れないでね…」
「分かってる、俺にも彼女がいるから…」
「なら、いいわ…」
「じゃ、美都、期間限定で付き合おう…」
期間限定?
始めは意味が良く分からないでいた。
「期間限定ってどういう意味?」
「俺が、結婚するその時までの間だけ付き合ってほしいんだ…」