第2章 チャットルーム
いつ頃からだっただろうか。
余り記憶にはないのだが、暫くトオルが管理するチャットルームでチャットをしていた時だった。
トオルからプライベートメッセージが来るようになった。
「ミツ、これからこっちで話そうよ…」
私は、別に構わなかったので返事を書いた。
「ええ、いいわよ…」
「良かった…」
私は、この時、何故トオルのハンドルネームが「ペイネ」なのかを聞いて見たくなったのだ。
「ところで、ペイネのハンドルネームの由来はなんなの?」
「ペイネの名前の由来?」
「うん、そうよ。良かったら教えて…」
「いいよ…」
そう言うと、トオルはこう話し始めた。
「『ペイネ、愛の世界旅行』っていう映画知ってる?もしくは本とか…」
私は、それを知らなかった。
「分からないわ…」
「レイモン・ペイネって言う、画家がいるんだけどね…」
「うん、それで?」
「その、レイモン・ペイネから取った名前なんだ…映画が素敵でさ…」
「どんな、内容の映画なの?」