第2章 チャットルーム
こう私は聞くとトオルは話してくれた。
「バレンチノとバレンチナと名づけられたペイネの“恋人たち”二人が『本当の愛』を探して世界一周の旅に出るんだ…」
「何だか、凄いロマンチックな感じなのね…で、続きは?」
「二人はまず、天国で、世界中を自由に旅することができる<ラブ・パスポート>を手に入れるんだ」
「うん、それで?」
「天国から地上に戻って来て、最初に二人が行きついたのはベツレヘムなんだ」
「ベツレヘム?」
「そうさ、そのベツレヘムでイエス・キリストの誕生に立ち会うんだ…」
「あら、本当に?」
「うん、本当さ。それから二人は続いて戦火の中のヨーロッパ大陸を横断してスペインに行くんだ」
「そうなんだ、それから?」
「そのスペインでは、なんと、投獄されたドン・キホーテと出会うんだ。そして彼を救出するんだよ…」
「面白そうね…それから?」
「それから、古都ローマで巨匠フェリーニの映画に飛び入り参加したりするんだ…」
私はここまで聞いて、フェリーニが誰だか分からなかったので質問したのだ。
「フェリーニって誰?」
「フェデリコ・フェリーニだよ。映画監督と脚本家さ。1920年イタリアのリミニで生まれたんだ。『映像の魔術師』って呼ばれてる有名な映画監督だよ…」
私は、この時初めてそんな映画監督がいたのかと思ったのだ。
フェリーニの有名な映画は『甘い生活』や『8 1/2』などがあるらしい。
「そうなのね。私、初めて知ったわ…」