第7章 ダイヤはダイヤでしか、、、
先ほどまでの楽しげな空気とは一変し、緊張感が張り詰めた。
太宰「貴方が先代の姿を偽装し、"荒覇吐"の噂を広めた、、、、何か云う事は?」
蘭堂「、、、、根拠はなんだ?」
太宰「貴方はミスを犯した。とても初歩的なミスをね、、、」
蘭堂「そのミスとは?」
太宰「"海"だ」
太宰の言葉に蘭堂は気付いたのだ。
自身のミスに、、、、
そんな蘭堂に太宰は言葉を続けた。
太宰「見える筈がないんだよ。海なんてね。直径二粁程の巨大窪地の中にいたら、どう背伸びしたって海なんか視界に入らない。じゃあ何故、貴方は海が見えるなどと云ったのか?他の証言は完璧で"荒覇吐"の説明には真に迫った説得力があった。貴方は実際に見たからだ。海を。だから間違えた。あの擂鉢街から海が見えたのは、ずっと前、八年前の爆発の時以前だ」
太宰の推理に感服した蘭堂は小さく溜め息を吐いた。
蘭堂「君と中也くんは賭けをしていたな。ならば賭けは君の勝ちか。より早く犯人の許へ辿り着いたのだから」
太宰「感謝するよ蘭堂さん。これで彼を一生犬としてこき使え、、、、」
太宰は全ての言葉を云うことが出来なかった。
何故なら、何かが壁を突き破って部屋に飛び込んできたのだ。
その何かは、蘭堂ごと部屋の壁を破壊し下へと落ちた。
土煙の中から現れたのは、、、、
「これであの陰険野郎との賭けは俺の勝ちだ。犯人は手前だ、蘭堂。俺の目からは逃れられねぇよ。アンタが嘘をついてた事くらい、とっくにお見通しだ」
中也だった。