第6章 羊の王
挑発する太宰に、中也はまんまと乗った。
「上等だ、受けてやるよ!俺に狡猾さも周到さもないだと?手前みたいなヤツに奥の手を見せるわけねぇだろ!!」
興奮する中也に太宰は冷静に言葉を続けた。
太宰「君が拳をしまったまま蹴りだけで相手と渡り合うのはその"奥の手"ってやつと関係あるのかい?」
「ッ、、、どう戦おうと俺の勝手だ。」
太宰「成程、意図的に手を抜いているわけだ。ところで何故君は荒神である"荒覇吐"を探している。何故興味を持った?」
「手前こそなんで早死にしたがる、、、わっ!」
突然中也はフードを被り、身を隠した。
そんな中也を不審がり、太宰はどうしたのかと声をかけるも中也は静かにしとけと小声で話す中也に太宰を辺りを見渡し、察する。
其処にいたのは、自身らと同じ年頃の少年と少女だった。
2人の手首には青いブレスレット、これは"羊"の構成員の証だ。
勿論、中也の手首にも着いているもの。
彼等はキョロキョロと周りを見渡していた。
太宰「彼等に遭遇してまずいことでも?」
「連中と会って云い訳ねぇだろ!」
身を隠す中也を横目に太宰は、、、、
太宰「おーい、中原中也くん!仕事に行くよ、首領の命令だ」
態と大きな声で叫んだのだ。
中也は慌てて、静かにしろと云うものの時すでに遅し、、、、。
少年「中也、やっと見つけた。探したぞ!」
中也は深い溜息をつき、フードを外した。
「おお、白瀬、柚杏。お前ら無事だったか、、、」
先ほどの焦った表情からは打って変わり、冷静を装う中也に太宰は笑いを堪えるのに必死だった。
銀髪の少年が白瀬という名で、ピンク色の髪をした少女が柚杏という名らしい。
白瀬「晶や省吾達がポートマフィアに攫われた。早く奴らのアジトに殴り込んで痛い目見してやろうぜ!いつもみたいにさ!」
「心配すんな、その件は対処中だ。攫われた八人は無傷で帰ってくる。」
白瀬「対処中?ゲーセンで?」
「ああ。」
白瀬「巫山戯てる場合かよ、組織内でも噂になってんぞ!中也がポートマフィアに屈服して使い走りの犬みたいに下請け仕事をさせられてるって!!」
「ッ、、、その前にお前達が調べていた"荒覇吐"の追加の情報あるか?」
中也の質問に白瀬は一瞬戸惑うもの、話し始めた。