第6章 羊の王
森「かの偉大な先代の首領をこのメスで切断し、病死のように偽装した。それがどうかしたかね?」
先代を葬ったメスを平然と中也に見せつける森に中也も言葉を失った。
「まじかよ、、、、」
珍しく中也は額に冷や汗を垂らした。
それほど森の圧に圧倒されたということだろう。
森「中也くん、とりあえず共同調査を申し出たい。我々が調べた先代復活の噂と、君が追う"荒覇吐"は明らかに同根の事件だ。情報を分け合うだけで、互いに利ある結果をもたらすと思うのだがね?」
「もし断ったら?」
森は手に持っていた黒い機器のボタンを押した。
〈おい中也、助けてくれ!〉
聞き覚えのある声に中也は拳を震わせた。
「くっ、、、」
森「ヨコハマの一等地に縄張りを構える反撃主義の組織。だが銃で武装していても君以外の構成員はただの子供だ。同じリーダーとして心中察するよ。」
「手前っ、、、ッ!」
思わず森に飛び掛かりかけたが、それはできなかった。
何故なら、、、
俺の首元にはナイフが当てられていたからだ。
ナイフを当てがっているのはだった。
横目に彼女を見つめると、透き通った瞳と目が合った。
その瞬間、胸がトクンと小さく音を立てた。
理由は判らない。
森「ふふ、ちゃん大丈夫だよ。」
森の言葉にはナイフを中也から離し、距離をとった。
森「とまぁ、、、この通りだよ、太宰くん。今この部屋で最も強大な暴力を持つのは中也くんだろう。だが、マフィアにとって暴力は指針の一つにすぎない。マフィアの本質はあらゆる手段で合理性をコントロールすることだ。」
太宰「どうしてそんな教訓を僕に教えるの?」
森「さて、何故だろうね。」
「情報を交換してもいい。ただし手前らが先に話せ。判断はそれからだ。」
森「いいだろう、、、、。」
森はゆっくりと話し始めたのだった、、、。