第6章 羊の王
「こんな時期に寒い訳ねぇだろ。ビビっているだけじゃねぇか?」
森「あれでもポートマフィアの準幹部にして優秀な異能力者なのだよ、彼は」
「どうでもいいよ、興味ねぇ」
拘束を外されたことにより、中也は手をポケットに突っ込み足を組んで座り直した。
その様子を見て太宰は呆れた様子で口を開いた。
太宰「森さん、そろそろ本題に入ったら?」
森「あー、そうだねぇ。中也くん、我々ポートマフィアの傘下に入る気はないかい?」
「ああ?」
森の言葉に中也の怒りは爆発した。
床に放射状に亀裂が入ったかと思えば、煙と共に床は破壊された。
それでも、森も太宰、の三人は眉一つ動かさず無表情の儘。
森「まあ、そういう反応になるよねぇ。だが、君の追うものと我々の目的はある程度一致している。お互い提供できるものを確かめ合ってからでも、返答は遅くないと思うが」
「お前達がこの街に何をしたか、忘れたとは云わせねぇぞ」
中也の瞳は鋭く光、怒りがこもっていた。
森「先代の暴走か、、この街を長く暴虐と恐怖に陥れたあの暴政は誰の記憶にも新しい。」
森は溜息混じりに言葉を続けた。
森「だがその先代も死んだ、最後は私が看取った。もし、かの暴帝が復活したなどという噂があるなら、その真相を確かめねば君達も不安じゃないかね?」
「アンタに関しても良くない噂が出回ってるぜ。本当は先代は病死ではなく、アンタが殺したんじゃないかってな。たかが専属医に首領の座を譲るなんて遺言、信じられる訳ねぇからな。」
森「そうだよ、先代は私が殺した。」
「なっ!」
冷静な声で告げた森。
先程までとは別人と思えるほどの威圧的な空気を漂わせた森に中也は圧倒された。
太宰「はぁ、、、、」
太宰は額に手を当てて大きくため息をついた。