第6章 羊の王
突然じいさんの目の前に小さな影が現れた。
その瞬間、俺の身体は後方へと飛ばされていた。
「はっ、、、?どうなってやがる、、、ッ!!」
砂埃の中から現れた者に言葉を失った。
何故ならその者は、、、、
『広津さん大丈夫?』
広津「さんっ、、、面目ない、、、」
太宰「、ナイスタイミングだよ!」
「女ぁ??」
俺と大して変わらなさそうな歳の女が立っていた。
太宰「ふふ、君"殺戮の天使"って訊いたことあるかい?」
「"殺戮の天使ぃ?"噂じゃ訊いたことあんなぁ。それがなんだ。」
ポートマフィアには"殺戮の天使"と呼ばれる最強の暗殺者がいる。
なんでも、其奴が現れれば瞬く間にその場にいた人間は全員死ぬ。
然し、その正体を見たものはいないのだ。
何故なら其奴を見て生き残ったものはいないから、、、。
唯の噂話にしかすぎねぇ。
それにそんな奴相手でも俺は負けねぇ。
太宰「ふっ、、、彼女だ。"殺戮の天使"ってのは、、、」
「はぁ、、、、?おいおい、なんかの冗談かよ。」
自殺願望のガキの言葉に耳を疑った。
じいさんの目の前に立つ少女にもう一度目をやった。
---たしかにすげぇ美人だ。
天使に違いねぇが、どう見てもただのガキだろ、、、、
人形のように整った小さな顔に白い肌、黒のワンピースを身に纏った彼女は一見するとただの少女にしか見えない。
その為中也も一瞬戸惑った。
太宰「、相手してあげたらぁ?、、、でも加減してあげてね?が本気を出せば死んじゃうから」
『うん。』
「ンだとごらぁ!」
腹が立った俺は自殺願望のガキめがけて飛び出し、蹴りを決めようとした。
ところが、、、
「ッ、、、はっ、!?」
なんと自殺願望のガキの目の前に女は素早く移動しており、俺の蹴りを見事に交わし、逆に俺に蹴りをお見舞いしてきやがったのだ。
おまけに彼女の左手には先ほどじいさんが持っていた銃が握られていた。
----いつの間に!?
その銃は俺が蹴飛ばしたはず、、、
俺はこの時初めて両手を使いかけた。
然し、使うことはなかった。
何故なら、、、、
ドォーーーン!!
爆発音と共に黒い炎が辺りを包み込んだからだ。