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綺麗な薔薇には棘がある

第5章 あの夜のこと


くちゅ、くちゅ。と厭らしい水音が部屋に響き渡る。

『ッんぅ、、はぁ、、んっ、、』

「んっ、、、」

どのくらい接吻をしているのだろう、、、。

互いを求め合う深く、激しい接吻に唇が蕩けそうだった。

中也の舌は角度を変え、何度も私の口内を暴れ回った。

そろそろ息が苦しくなり、中也の胸を叩いた。


ちゅぱっ、、、、

唇を離せば銀の糸が二人の舌を繋ぎぷつりと切れた。


『ッはぁ、はぁ、苦しいよ、、、////』

「悪りぃ、手前が可愛すぎて、、つい、、、///」

『ッ!///』


中也の言葉が恥ずかしく、顔を背けようとしたが、、、


「ちゃんと俺を見てくれ。」

『中也っ、、、、』

彼の手が優しく私の頬を撫でた。

手袋越しでも伝わる、大きくて温かく、安心する手。

彼に視線を戻すと海のように青い綺麗な瞳と目が合った。

「手前が欲しい。」

言葉の意味は判った。

私だって同じ気持ちだ。


でも、、、、


『だ、駄目!』

「嫌か?」

『違う、、、だって中也今怪我してるから、、、』

「怪我ぁ?ンなの大したことねぇよ。」

『で、でも、、、』

「でも、、、?」

中也は今怪我人だ。
流石に無茶をさせるわけにはいかない。

それに、、、不安なのだ。
彼に抱かれたあの日以降、私はそういう行為すらしていないのだから、、。。


中也を満足させられるのかと、、、、。

私は意を決して正直に伝えた。

『ッ、、、不安なの、、、上手くできるか、、、あの日以来してないから、、、。』

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