第15章 悪夢の始まり
記憶がないのは不便ではあるが、皆んな優しく教えてくれることもありなんとか仕事にも復帰することができた。
少し困っているのは兄さんのスキンシップだ。
記憶がないせいか、ドキドキしてしまうこともある。
だけど一番ドキドキするのは中也さんだ。
毎日逢いに来てくれて他愛のない話をしてくれる。
ただそれだけ。
でもその時間が私にとっては幸せだと感じる時間なのだ。
きっと私は中也さんのことが好きだったのかもしれないと思っている。
優しくて、格好善い彼にときめいていた。
いつもは中原さんって呼んでいたけど、勇気を出して中也さんと呼んでみた。
中也さんは凄く嬉しそうな顔をしてくれていた。
その顔に胸が高鳴った。
中也さんとの時間はいつもあっという間だ。
帰っていく彼の背中を見送り、事務所へ戻ろうとすると声をかけられた。
振り向くとそこには、、、、
『貴女は、、、?』
佐々木「佐々木と申します。中也さんの部下です。」
中也さんの部下の人が何の用なのだろうか?
『えっと、、、私になにか?』
佐々木「単刀直入に云います。中也さんともう逢わないで下さい。」
『えっ、、、、?』