第3章 好きなモノ
廊下を歩いていると、見覚えのある小さな背中が見えた。
紛れもない"彼女"だ。
話しかけようと、近づいた。
やけにフラフラと歩く彼女の様子に疑問を抱いた瞬間
突然の身体が右に傾いた。
「あっぶね!」
慌てて彼女の身体を支えた。
「大丈夫か?」
俺の声に振り向いた
『大丈夫、ありがとう。』
そう云って俺から離れ、再び歩こうとするの手を掴んだ。
「大丈夫なんかじゃねぇだろ!怪我してんじゃねぇか!!」
『ッ!』
俺はを横抱きにし、医務室へ向かった。
の顔色が悪かったこと、それと血の匂いがしたのだ。
俺の勘は当たっており、の腹部はナイフで刺されていたのだ。
幸い、傷は浅く3針ほど縫って処置は終わった。
「太宰には云ったのか?」
首を横に振る
「なんで云わねぇんだ!」
『、、、、。』
何も答えないに中也は溜め息をついた。
「あのなぁ、何も云わねぇ方が心配する時もあんだよ。次からはちゃんと云うんだぞ?」
『うん、、、でも、、、』
から告げられた言葉に俺は驚愕した。
そして、頭に血が上った俺はを医務室へ残し奴の元へと向かった。