第3章 好きなモノ
「ほらよっ、姫さん。ご所望のモノです。」
『ありがとう!』
「ほんとに好きだよなぁ、いちご飴」
『美味しいんだもの』
中也からいちご飴を受け取り、頬張る。
その姿を眺めている中也。
可愛い、、、。
中也の頭の中はこれしか思い浮かばなかった。
いちご飴をに教えたのは中也だった。
------7年前
"殺戮の天使"そう呼ばれていた少女はいつも無表情。
僅か13歳にしてポートマフィア内で恐れられていた人物。
ポートマフィアに加入してから忙しい日々を過ごしていた。
ふとした時、頭によぎるのは、、、
「、、、」
そーいや、あれから全然見かけねぇな、、、。
所属する部隊が違えば当たり前だが、1ヶ月も顔を合わせねぇと流石に気になる。
俺から彼女の元へ行けばいい話なのだが、の隣には奴がいるので、あまり近づけずにいた、、、。
そんなは、遊撃隊に所属しており毎日のように任務に出ていた。
太宰「お疲れ様!」
『うん。』
にっこりと微笑む太宰とは裏腹に無表情の。
これが通常運転なのだ。
太宰「よーしっ、この後の任務もあるからさっさと拠点に戻ろう!」
太宰はの手を引き、そそくさと車へ乗り込んだ。
太宰「私は首領に報告してくるから、先に戻ってて!」
そう太宰に指示されたは頷くも、向かう先は部屋ではなく医務室だった。
『ッ、、、、』
太宰にはなにも云わなかったが、は怪我をしていた。
腹部に触れると血が手に付いた。
返り血ではない、紛れもない彼女の血。
黒のワンピースを着ているせいで目立ちにくいのだ。
あと少しで医務室、、、だがその少しがにとっては遠かった。
『、、、ッ!』
血の気が引き、意識が遠のき、倒れかけた時だった。
誰かに身体を支えられたのだ。
「大丈夫か?」
後ろから聞こえた声は兄でない。
然し、この声は安心できる声だった。