第15章 悪夢の始まり
太宰「具合はどうだい?」
『大丈夫、、、』
太宰「中也のことが気になるかい?」
は小さく頷いた。
中原さんの顔が忘れられなかった。
笑顔だったけど、すごく悲しそうだった。
それに彼の顔を見た途端とても安心したのだ。
中原さんは私にとって大切な人なんだと感じた。
私が記憶を失くしたからもう逢いに来てくれないのではないかと少し不安になっていた。
太宰「ふふ、心配しなくても大丈夫さ」
『えっ?』
太宰「中也なら毎日来るはずだよ?」
『、、、、よかった』
兄さんの言葉に安堵した。
思い出そうとしても、記憶には靄がかかっているような感じなのだ。
声や音も聞こえない、無音の世界。
早く思い出したい。
無意識に腕についていたブレスレットを握っていた、、、、。
----数日後
「糞っ、、、神田は一体何処に消えたんだ!」
なかなか見つからない神田に苛立ちが隠せずにいた。
あの日以来、俺は毎日に逢いに行っている。
の記憶はなかなか戻らない。
不幸中の幸いなのはあの頃のように人形のような彼女ではないことだ。
然し、やはり辛いモンだ。
今だに俺のことは"中原さん"のまま。
いつものように中也と呼んで欲しいものだ。
を抱き締めたい、彼奴の温もりを感じたい。
太宰からは恋人であることは黙っていて欲しいと云われている、勿論俺がポートマフィアであることも。
それを知ればが混乱しちまうからだ。
過去に人を殺めていたことなども今の彼女は知らないのだ。
を苦しめたくなくて俺は太宰の云うことを聞いた。
「、、、、」