第13章 聖夜の夜に、、、
エレベーターが目的の階に着き、敦はエレベーターから降りると中也から教えられた部屋番号を頼りに長い廊下を歩いていた。
敦「ここだ、、、よしっ、、、」
気合いを入れ直し、インターホンのボタンを押そうとしたその時だった。
『あっ、、んぁあ、、も、だめっ、、』
の甘い声に敦の動きは止まり、赤面する。
そう、虎の異能力者の敦はこの部屋が防音であったとしても中の声や音が聞こえるのだ。
部屋の中が静かになったタイミングで敦は意を決してインターホンのボタンを押した。
暫くするとガチャっと扉が開いた。
敦「あ、あの!ケーキのお届け物です!!遅くなって申し訳ございませんっ!!」
深々と頭を下げ、箱を差し出す敦
「なに謝ってんだぁ?」
上から降ってくる声に敦は恐る恐る顔を上げると上半身裸の中也が目に入った。
敦「へっ!?///いや、20時って云われてたのに10分遅れてしまったので、、、、」
敦の言葉に中也はふっと笑い乍ら箱を受け取る。
「いいや、それくれぇでちょうど善かったぜ。助かった、ありがとな」
そう笑い乍ら感謝の言葉を述べる中也に敦はなんとなくが中也を選んだ理由が判った。
マフィアなのに、中也からは悪の匂いがしないのだ。
敦「そ、それなら善かったですぅ!!で、では僕はこれで!!」
「おい、敦。これ受け取ってくれ」
中也の手には数万円が握られていた。
ざっと見ただけで5万はある。
敦「ぇえ!?そ、そんな大金受け取れません!!」
本当は欲しいが、ケーキなんてたかだか数千円だ。
しかもケーキ代は先ほど中也がすでに払っている。
おまけにお釣りもかなりあったのだ。
そんなこともあり、敦は首を横に振ると中也に手招きをされる。
中也に恐る恐る近付く敦、そして中也の言葉に再び赤面し、"勿論です!!失礼します!!//"と大声で叫び中也から現金を受け取りその場を去ったのであった。