第2章 武装探偵社
走り去る車をぼーっと眺めていた。
彼に接吻(キス)された頬は熱を持っていた。
未だに胸はドキドキと高鳴り続けていた。
気が付けば、彼からもらったブレスレットを握り締めていた。
中也とまた逢える、、、。
嬉しかった。
彼に黙って姿を消してしまったのに、怒らずに私を受け止めてくれたことに、、、。
中也の仕草一つ、一つに胸が高鳴った。
改めて彼が好きなんだと実感した。
好きって伝えられればどれだけ楽か、、、。
でも云えない。
もしかしたら中也には誰か好きな人がいるかもしれない、、、
なんならお付き合いしている人がいるかもしれない。
事実を知るのが怖くて、中也から拒絶されるのが怖くて自分の気持ちなんて伝えられない。
あの夜、私を抱いてくれたのはきっと中也の優しさだ。
何度も云い聞かせても、やはり心のどこかでは中也も私のことを想っていてくれているのではないかと考えてしまう。
『中也、、、、好き、、、』
聞こえるわけもないのに、呟いた。
彼のそばにいたい。
でも、もう彼処(ポートマフィア)には戻れない。
何故なら私は、、、
武装探偵社の人間だから。
人を救う側になると決めたのだからだ。
"太宰を頼む。"
彼の、、、織田作の遺言。
織田作とある約束をした。
だから、私は人を救う道を選んだのだ。