第10章 六年前の悪夢
広津さんから伝えられた場所へ向かうと建物の骨組みが剥き出しになり、いつ崩れてもおかしくないような状態だった。
砂埃が舞うその中心に人影らしいものを見つけた。
その正体は、、、、
『、、、兄さん、、、?』
太宰「やぁ、」
『大丈夫なの?』
太宰「心配かけさせてすまないね、私は大丈夫さ。」
そう云いながら目線を下へ向ける太宰、もつられて視線を下に向けるとそこには、、、
『ッ、、、中也!』
兄さんの足元で倒れているのは血まみれの中也だった。
そしてその周りには知っている顔の人物達、、、
中也の仲間だ。
私は引き寄せられるかのように中也の元へ走り、中也の身体を抱き起こした。
太宰「心配しなくても大丈夫、エネルギー切れってところさ。」
兄さんの云う通り、中也は眠っているようで小さなイビキをかいていた。
中也が無事だと知った瞬間、私の意識は飛んだ。
太宰「ありゃりゃ、、、私2人もおぶられないよ。そーだ、織田作を呼ぼう!、、、、織田作?うん、無事さ。実は頼みがあってね、、」
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『ん、、、ッ中也、、、?』
「よぉ、目ぇ覚めたか?調子はどうだ?」
目覚めるとそこは自身の部屋で、中也がいた。
中也の言葉に頷き、身体を起こす。
『中也は、、、身体大丈夫、、、?』
「まだ多少痛むが大丈夫だ!それより手前に負担をかけさせた。すまなかった。」
『えっ、、、、?』
「俺が太宰を探している間、手前を一人で戦地で戦わせちまった。そのせいで手前は倒れたんだ」
-----そうだったんだ、、、。
でもそんなことよりも、私は中也が無事であることに安心した。
血まみれで倒れていた中也を見た時、初めて恐怖を感じた。
中也がいなくなってしまうかもしれないという恐怖
だから今こうして話せていることに安堵した。
『私は大丈夫、中也が無事で善かった、、、、』
「、、、、」
ほんの少し沈黙の時間が流れた。
沈黙を破ったのは中也だった。
「煙草吸いてぇから付き合ってくんねぇか、、、、?」