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綺麗な薔薇には棘がある

第2章 武装探偵社


国木田さんが無事、敦くんと鏡花ちゃんを保護したと連絡が入り、社内は安堵の声に包まれた。

バタバタしていて忘れていたが、今日の買い出し当番は自分だったことに気付き、慌てて事務所を飛び出し買い出しへ向かった。


『こんなもんかな、、、』

手っ取り早く買い物を済ませ、事務所へ戻る帰り道だった。


『ッ!』

パシッと何者かに手を掴まれ、そのまま路地裏へと連れ込まれた。

抵抗しようにも、身体が全く動かせなかった。

これは、、、、異能力だ。

この異能力は知っている、、、、。


ドンっと壁に押し付けられた。

「久しぶりだなぁ?、、、?」

やはりだ、聞き覚えのある声だった。
彼の顔を見たくなくて、下を向いたが顎を掴まれ、前を向かされる。

『ッ、、、、』

「ンな顔しやがって、、、手前には聞きてぇことがある。」

『、、、、、。』

「何故裏切った、、、何故何も云わずにいなくなった。」

帽子の隙間から見えた彼の目は鋭く、冷たかった。

『ッごめんなさい、、、』

謝ることしかできなかった、、、。

ここで中也に殺されても悔いはない。

覚悟していた。

然し、、、、



気が付いたら私は中也の胸の中にいた。

『中也、、、?』

「逢いたかった。生きてて善かった、、、。」

中也の言葉に涙が溢れ出した。

『私も逢いたかった、、、。黙っていなくなってごめんなさい。』

「太宰の野郎だろ?手前が勝手にいなくなる理由はそれしかねぇ。」

私が落ち着くまで、抱き締め、頭を撫でてくれた中也。

4年前よりも大きくなった彼は少年から男性に変わっていた。

そんな彼に胸が高鳴った。

「なぁ、戻ってこいよ。首領も手前のことを待ってんぞ。」

『ごめん、私はもうポートマフィアには戻れない、人を救う側になったの。』

「ッ、、、そうか、、、。」

『うん、、、。』

もう私はマフィアには戻らない、人を救う道を選んだのだ。

その道は中也と敵対するという意味。

彼もその意味は判っている筈、、、。

きっと彼とはもう、、、、

でも、あの時のことを謝ることができた。
それだけで十分だと思っていた、、、。

だけど、、、、

「俺とは逢ってくれるか?」

『えっ、、、?』




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