第9章 旅にはハプニングがつきもの
芥川はまだ気付いていないがに恋をしているのだ。
然し、恋愛に疎い芥川はに対する想いが判らずにいた。
彼女の笑顔で心が高鳴る時もあれば、時には彼女に怒りを覚え、そして時には彼女のことを考えれば胸が苦しくなり、芥川を困らせた。
とは同い年だが、先輩だ。
それにとても強い。
芥川の中では数少ない尊敬できる人間の一人。
だからへの想いは尊敬だと芥川は思い込んでいたのであった。
勿論、中也は芥川がに好意を抱いていることはなんとなく気付いていた。
だから、がいることを知られたくなかったのだ、、、。
芥川「あの、さん、、、」
「待たせた!!」
『あっ、中也!龍ちゃん何、、、?』
芥川「いえ、何も、、、それでは失礼します」
そう云って部屋へと戻る芥川をは不思議そうに見つめていた。
すると突然、、、
『ッ!、、、中也、、、、?』
は中也に抱き締められたのだ。
「随分と芥川と仲がいいんだな。」
『え、、、、?』
は中也の云っている意味が判らず、首を傾げた。
そんな彼女に中也は小さな溜息を漏らし、言葉を続けた。
「、、、呼び名」
『ああ、、、芥川くんって呼ばれるのが嫌だったみたい。だから龍ちゃんに変えたの』
---男が下の名前で呼んでほしいってことは好意があるからだろーが。
芥川の野郎め、、、、。
何の疑いも持たないに中也は再び溜め息をついた。
そんな中也にどうしたのかと問うと、"この鈍感め"とデコピンをお見舞いされたは、"痛い、、、、"とおでこをさするのであった。