第9章 旅にはハプニングがつきもの
「なんで手前らがいんだよォ!!!」
中也の悲痛の叫び声が男湯内に響き渡った。
---1時間前
「おっ!なかなか善い宿じゃねぇか!」
『凄いね』
"ほら、行くぞ"と中也はの手を引き宿に入った。
組合との戦いが終わり、互いに仕事が落ち着いたので、約束通り二人で箱根のとある高級旅館に一泊二日で旅行に来ているのだ。
中也は久しぶりにとの二人きりの時間に心を躍らせていた。
なんていったって、拠点で想いが通じ合ったあの日から彼女と2人きりで過ごすことができなかったからだ。
宿に入るなり、キョロキョロと周りを見渡す中也には兄は絶対に現れないと伝えた。
「この前もそー云って現れたろ?」
『ふふ、今回は大丈夫だよ。』
と中也が付き合っていることは探偵社の大人組(国木田を除く)は知っていること。
旅行へ行くと伝えると、与謝野は気を利かせ太宰を乱歩の出張の同伴に行かせるよう仕向けてくれたそうだ。
おまけに今回太宰と乱歩は北海道、依頼者の方はお礼に蟹をたらふく食べさせてくれるとのことで、太宰はかなりるんるんで乱歩と共に出張へ出かけたそうだ。
勿論、が中也と旅行に行くことは知らずに、、、、。
2人が旅行に行く日に北海道へ出発したので、絶対に帰って来れないのだ。
からその話を訊いた中也は更に機嫌が善くなった。
邪魔されることがないのだから、、、、
そう思っていたのに、事件は起きたのだ。
部屋は露天風呂付きではあったが、は大浴場にも行ってみたいとのことで夕飯前に温泉に入ることにした二人、、、
勿論、男女別なので1時間後に集合ということで別れたのだが、脱衣所で中也は知っている顔ぶれに再会したのだ、、、、。