第1章 素直になれなくて(舞&光秀&家康)R18 有
は座ってようやく落ち着きを取り戻したが、どこから聞かれていたのか、照れて言葉がなかなか出てこない。
「あの、その光秀さんに…」
「ありがとう。日頃の御礼に羽織を作ってくれたんだろ。良い色だし、舞はいい仕事をするな。大事にする」
あまりにも素直に受け取られたので内心驚いたし、喜んで貰えて嬉しかった。
「それで…」
が口を開こうとするとまた光秀に制された。
「今日からしばらくまた城をあける。」
(光秀は内心迷っていた。この言葉を言うべきか否か。)
「それから、…俺はやめておけ。お前のような小娘相手に本気にはならん」
は、先ほどの嬉しかった想いから一気にどん底に突き落とされた。
「光秀さん…何で」
心を読まれ、告白もさせてもらえず、フラれてしまった。
「それに、500年後に帰る術はあるのだろう?平和な世でお前を大事にしてくれる男を探せ」
は自分が500年後に帰る事などすっかり忘れていた。
光秀の優しさには傷ついた。
「わかりました。そうですね。」
気づけば勝手に涙は溢れていた。
立ち上がると光秀の部屋を後にした。
光秀は追ってこなかった。