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芝生#1【イケメン戦国】短編寄せ集め(裏有り)

第3章 一人の男と一人の女(顕如)


「そうだな!だが、私はもう僧侶では無い。」

「ただの人?」

「ただの人!」

また、肩を揺らして笑っている。

こんな物言い失礼だったので、怒りを通り越して笑ってしまっているのだろうか?とは少し不安になったが、直ぐに

「だから気に病むことはない!」と返された。

(でもこんなに可笑しそうに笑う顕如さん初めて見た!)


ドシンっ

「っつぅいたたたた」

「蘭丸か?」

「蘭丸くん?出てきて」


「ご、ごめんなさい。顕如様がそんなに笑うお姿を久しぶりに見て、動揺して…」

蘭丸は目に涙を浮かべている

が蘭丸に手ぬぐいを差し出した。


「蘭丸…礼を言いう。を連れてきてくれてありがとう。」

「さま凄いや。本当に天女さまだね。」

美しく整った顔で、嬉しそうに笑顔で真直ぐに言われた。

「じゃぁ僕行くね。顕如様もう邪魔者はいませーん」

「…。」顕如の目が細まり目尻が下がってきた。

その横顔を見ているだけでも十分なほど心が満たされた。

(この人は鬼じゃない 時代が、運命が彼を闇に落としてしまった、きっと救える。一緒に生きれる)



すると顕如は、体の力が全て抜けたというように、ピンとはってた肩甲骨までゆるめ、肩を丸くし、姿勢を崩して胡座をかいた。

臨戦態勢で常にいた人だったし、別に世間話をしてる時ですらピッとしてたのに、何だか親しみがわく。ほんとにただの男の人なんだと思った。


今度は、その優しい眼差しを自分に向けてきた。


顕如がに、甘く低い声で呟いた。

「せやしな、ここにいてるんは、お互いが愛し合うてる、男一人と女一人やさかい安心してええねんで」

(急に京都弁!)

だんだん頬が熱くなってきた!!

死ぬほどの覚悟で来たし、抱かれる覚悟もあったのに、目の前にいる男前が自分を好きだと言ってると再認識したら、今更恥ずかしくなってきてしまった!

(帰りたい!いや!帰らない!)

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