第3章 一人の男と一人の女(顕如)
「信長様の考えを受け入れろとは言いません!許さなくて良いと思います。でもあなたは死なないで、信長様を恨みで殺さないで、ただ、私と生きてください!お願いします!」
「えらい、強欲なお嬢さんやわ。全部は飲めへんって言うたらどうしはる?」
「あなたの背負ってるもの、半分で良いから持たせてください!幸せになりませんか?望んで良いんですよ!顕如さん!」
気づけば顕如の目から涙が零れていた。許されぬ事だと諦めていたのに、いちばん欲しかったものが、それを諦めるなと背中を押してくれている。
少し放心状態になった後、ゆっくり口を開いた
「愛してる、不思議や。自分は今どんな顔してんねやろか」
そして、に固く握られた手を解き、頬に手を当てると顕如から口付けをした。