第3章 一人の男と一人の女(顕如)
「今後どうするんだ」
「一緒に考えましょう!みんなが幸せになれる解決策を」
「は凄い。私よりも民衆を導く力があるかもしれん!」
「そ、そんな事ないです!」
謙遜していたが、顕如が久しぶりに向けてくれた優しい笑みに、はうっとりしていた。
途端に、手を握りしめていた事を思い出し、急に恥ずかしくなった!
緊張が溶けると今度は途端に、目の前の愛しい人に何を話していいかも分からない。
手を解こうとしたら、握り返され急に照れ臭さで饒舌になる。
「あ、でもあれですよね!顕如さんちょっと会ってない間に痩せましたか?」
「……。」
「あー!そういえば、こないだ城下で!」
「……ふっ(笑)」
「あ、笑った」
「ふはは なんでそんなに必死なんだ?」
「笑ってくれたなら、もう!なんか!なんでもいいです!」
「、お前が寝てる時にしか言えなかったが……」
ふと顕如の元で寝てしまったことを思い出した。
「に赦されるのであれば、今言いたい。愛していると」
きゅううううん!と胸の奥が疼いた
(寝てる時に言ってたなんて???)
同時に安土で奉公している事がバレ、拒絶され、軽蔑されたあの苦く切ない瞬間も思い出してしまった。
「顕如さんのことが好きです!私も!まさか両思いだったとは、、、」
「この先の問題は山積みだが、今日私は生きている。目の前に愛する女がいる。それだけでも、この上なく幸せなことなのだな。死んでいった同朋たちの無念を晴らすため、幸せなど望めないと思っていた。」
「はい!そうです!でも、幸せは望んで良いんです!亡くなった方もあなたの幸せを願ってる。」
「そうは思えないがな」
と言いつつも絶望の顔ではなくそうだったら良いなという希望的な顔にはなっているように感じた。
「あのぉー……でも!お坊さんはそういう恋愛とか、その…夜の行為は、、あの、ダメなんですよね?」
「ぐっ、、くふ、ふはははは」
と思わず笑みが零れた
(この女、そんなことを口にするとは)