第1章 素直になれなくて(舞&光秀&家康)R18 有
「、何度も言ったはずだ。もっと先を見ろ」
「や…やってます。わぁあ」
慌てた拍子にバランスを崩し、見事に馬から転倒した。痛みに顔をしかめるを見て、光秀はため息をついた。
光秀のもとで、馬術や、弓矢や、剣術、鉄砲を学び、歴史の事や簡単なケガの治療についてもみっちりと教わった。
「、足元を見ろ!転ぶぞ」
「いったたたあぁああ~」
(もう、先を見ろって言ったり、足元見ろっていったり…)
「大丈夫か?…本当に危機感のない奴だ。がいた世界は相当平和なのだな。」
「それは……光秀さんたちがこの世界を築いてくれたおかげですよね?」
光秀は言葉を失った。
「…。」
(そうか、おまえの故郷 500年後はこのような事をしなくても良いのだな…)
光秀はの不運さに同情しながら、この戦国の世界で生き抜こうとする前向きさや逞しさをどこか尊敬していた。
は光秀との毎日の中で、光秀の優しさに気づいた。
自分が疲れたら休憩をとって、水を差し出してくれたり、訓練が辛くなった時はご褒美に甘味を買ってきてくれたりもした。
失敗するのを分かって先回りしてくれるのもそうだった。
ケガをすれば当たり前のように治療をしてくれて、抱きかかえて部屋まで連れてってくれたこともあった。
(もしかして、っていうか、絶対光秀さんは優しい人だ……)の胸の内で広がっていく。
今日なんて「よく頑張ったな」なんて頭を撫でて褒めてもらえたのが嬉しくて、部屋に戻っても顔が熱かった。
もっと彼のことを知りたい。そんな思いが日増しに強くなっていった。