第2章 私の居場所(家康)
「光秀さんに言われたの、お前は選ぶ相手を間違えてるぞって。」
「私、光秀さんの事好きなのかなと思ってたんだけど。光秀さんにそれを言われても、悲しくならなかった…。むしろ、一番最初に浮かんだのは家康の顔だった」
「…?」
「何で気づかなかったんだろう。光秀さんといた時間が長いくて、印象が強すぎて、気づけなかったけど…ケガした時手当してくれたり、私がしょげてたらワサビを撫でさせてくれたり、息抜きに家康が薬草を取りに行く山の花畑に連れてってくれた事もあったよね。
光秀さんに褒められて嬉しいって思った時ですら、家康が城下のお茶屋さんで「頑張ったね」って甘味をご馳走してくれた…。話もいつも聞いてくれた。私が辛い時も楽しい時も嬉しい時も傍には家康がいてくれた。
孤独で寂しかったお城の中で…私の居場所は…家康だったんだって気づいたの…」
「待って…は俺のことが好きってこと?」
「うん、私、家康を好きなんだって気づいたら、今まで家康が何気なくしてくれてた事とかかけてくれた言葉とかひとつひとつを思い出して胸がいっぱいになっちゃって、涙が溢れてきて…それで…」
「そうだったんだ。」
家康は自分の胸の奥にじんわり広がる温かいお湯のような心地よさに酔いしれながら、もう一方でこのままを自分のモノにしてしまいたい衝動で揺れていた。
「俺もずっとを好きだったんだよ。」
「ぇぇぇぇえええええ??」
「やっぱり、気づいてなかったんだね」
「うん、ごめん。光秀さんに気付かされるまで自分の気持ちすらわかってなかったくらいだから」
「そういう所もっぽいけどね」