第6章 そっち系?
「…ほら、やっぱ開けても死なねぇじゃん。なんなんだよ、お前…」
なんて呆れたように言っているおそ松くんの顔と、裸が一気に私の視界に入り込んでくる。
あ、あ…裸が…おそ松くんの裸が…!!
私が目を開けてしまったことを察したのか、私の周りにいたカラ松くんと十四松くんは慌ててタオルで股を隠していた。
だが、おそ松くんだけはずっと丸見えで丸出しだったので、私は思わず顔を赤く染めてしまっていた。
「あ……あ……」
「…え、お前…もしかしてそっち系??」
私の赤面を照れていると捉えられてしまったのか、おそ松くんはドン引きしながら私から数メートル距離を取っていた。
なに、そっち系って…。
「ちっ、違うから!!そっち系じゃないから!!」
「嘘つけ!!お前、俺の体見て照れやがって…変態じゃねぇか!!」
「だから違うんだってば!!」
ど、どうしよう。
話が思わぬ方向に進んでしまっている。
春馬がそっち系とか、そんなわけないのに。
まぁ私は異性が好きだから、間違った話ではないのかもしれないけど…いやだとしても、それは何かがおかしいぞ、おそ松くん!!
「じゃあなんでさっきから照れてんだよ!顔真っ赤じゃねぇか!説明してみろよ!変態男!」
「そ、それは〜…」
それは…私が女だから…。
なんて、言えるわけがないからなぁ。
うーん、どうしよう…困ったぞ…。
開けてしまった目で、銭湯の床を見つめながら、私は頭を悩ませていた。
ここで目を閉じてしまったら、おそ松くんに「マジでそっち系の人だ…」と思われてしまうので、一旦目は開けたままの方がいいだろう。
こ、こうなったら…。
「ぼ、僕…あんまり人の裸とか、見る機会がなかったから…恥ずかしかっただけで…」
「…いや慣れろよ、それくらい。お前も男だろ」
"今は"ね…。
「いつまでカラ松と十四松にやってもらうつもりなんだよ、お前…そろそろ自分でやった方がいいんじゃねぇの?」
それは本当にその通りだから、私もそろそろ目を閉じながら完璧に髪と体を洗える技術を身に付けないとな…。
二人とも、もう嫌気がさしてきてるだろうし…。