第6章 そっち系?
ーーー銭湯にて。
いつも通りカラ松くんと十四松くんに体を洗ってもらっていると、おそ松くんがいきなり話しかけてきた。
「春馬くんってさぁ…なんでいっつも目ェ閉じてんのー?」
「え…」
い、今更それ聞く…??
今までは、何も言ってこなかったのに…。
「えっと…これは…」
「普通に目開けて、自分でやった方が効率よくね?」
はいその通りです。
グゥの音も出ません…。
が、これには深いわけがあるんです!!
だから許してください…!!
おそ松くん!!
「カラ松と十四松がいい迷惑だろ」
「うっ…」
その通り過ぎて、心が痛い。
私だって、出来れば目を開けて自分で洗いたいとは思ってるよ。
二人だって、私の事情を知ってるから仕方なくやってるだけで、やりたくてやってるわけじゃないし。
でも…私が目を開けちゃったら、みんなの裸が…!!
「…で、なんで春馬くんは目ェ閉じてんの?カラ松」
「こ…これは…か、介護ごっこで…」
「はぁ?介護ごっこ?」
いやそれは無理があるんじゃないかな、カラ松くん!!
「なんで目を閉じてるの?」っていうおそ松くんの質問にちゃんと答えられてないし、男子高校生が銭湯で介護ごっこって、変な人達だと思われちゃうでしょ!!
絶対に…!!
「やってて何が楽しいの、それ」
「「「………」」」
おそ松くん、もうやめてくれよ…。
私たちだって、やってて何も楽しくないんだからさ…。
許してよ…。
「…ねぇちょっとさぁ、目開けてみてくんない?春馬くん」
「…ええ!?!」
「別に死ぬわけじゃないんだからさ、開けても良くない?それともなに、開けたら死ぬの?」
「い、いや…別に死なないけど…」
「じゃあいいよね、はい、あーけーて!!」
「え、ちょっ、ちょっと…!!」
私の頭を掴みながら、力技で私の瞼を開けようとしているおそ松くんは「開けろよ、早く」と言って、私のことを催促していた。
これはまずい。
このまま目を開けてしまったら、おそ松くんの全裸が私の視界に…!!
やめてくれー!!!
「し、死ぬ!!開けたら死ぬから、やめておそ松くん!!」
「嘘ついてんじゃねぇ!!逃げんな春馬!!」
「いやっ………ぁ…」
暗かった視界に、光が差し込んできた。
うわっ、眩しっ…!!