第6章 そっち系?
「チョロ松兄ちゃん…ここどこー?」
…え、もしかして、トド松くん迷子になっちゃったの??
拒絶されてしまったけれど、トド松くんと帰り道は一緒だから、一定の距離感を保ちながら着いて行っていたら、トド松くんはなんと一人で迷子になって泣き始めてしまっていた。
うん、なんで??
チョロ松くんはいないけど、この道は何回も何回も通ってるはずだよね、トド松くん…。
それなのに、高校三年生にもなって、迷子って…。
どういう状況なんだ、これは。
「チョロ松兄ちゃぁん…」
「………」
人の目もある道端で、トド松くんがチョロ松くんの名前を叫びながら大泣きしてしまっている。
そんな彼のことを放置するわけにはいかなかったので、私は改めてトド松くんに話しかけてみることにした。
「あの…トド松くん、僕と一緒に帰らない?帰り道なら、僕がわかってるから…」
「………」
トド松くんが、大きな瞳で私のことをジーッと見つめている。
また無視されちゃうのかな。
やっぱり私はチョロ松くんじゃないから…。
なんて思っていると、トド松くんは何を思ったのか、無言で私のブレザーの中に潜り込んできた。
え、な、なに…??
あ、赤ちゃんなの…??
なんか、カンガルーみたいになっちゃったんだけど…。
このまま家まで行けってことなのかな。
ま、まぁ、動きにくいけど、可愛いからこのままにしておくか…。
「じゃ…じゃあ帰ろっか、トド松くん」
「………」
トド松くんが軽くてよかった。
これで重かったら、私も泣くところだったよ…。