第5章 忘れ物
「あーもう何やってんだよチョロ松〜…」
「だ、大丈夫なの…!?」
「まぁ大丈夫でしょ」
大丈夫でしょって…ノリ軽くない…!?
弟が目の前で倒れちゃったんだよ…!?
なんて一人でパニックになっている私のことを横目に、おそ松くんは呆れたように「これだから童貞は…」と呟いていた。
「と、とりあえず保健室に連れていかないと…!」
「え、俺も行くの?」
「おそ松くん、チョロ松くんのことおんぶしてあげて!」
「いやいや、俺にそんな力ないって」
「早くー!!」
ーーーよかった、先生はいなかったけど、保健室が開いてて。
「もう腰壊れた…動けない…一生分の力使い切った…」
「チョロ松くん大丈夫かな…」
「ちょっと俺の心配もしてよ!!バカぁ!!」
誰のせいでチョロ松くんが倒れちゃったと思ってるんだ、この長男は…。
保健室のベッドで眠っているチョロ松くんの横で「もうやだー俺も寝るー」と赤ちゃん化しまったおそ松くん。
なんだかんだ言って、ここまでチョロ松くんをおんぶして来てくれたので、色々と最低だったけど悪い人ではないのだろう。
「…あ、一松くん」
クラスの誰かからチョロ松くんが倒れた話を聞いてきたのか、保健室に一松くんが入ってきた。
「…チョロ松兄さん、大丈夫?なんで倒れたの?」
「そ、それは…」
心配そうにしている一松くんの問いに、私は言葉を詰まらせた。
い、言えるわけがない。
言っちゃったら、チョロ松くんの兄としてのプライドと尊厳が…!
なんて私が焦りを見せていると、デリカシーのないおそ松くんは、バカ正直に本当のことを言ってしまっていた。
「あー、チョロ松、春奈ちゃんのパンツ見ちゃったから」
「なるほど…って、はぁ!?!ぱっ、ぱ…!?」
「そうパンツ、可愛いピンク色だったんだよね〜」
「おそ松くん!!」
「だからそんな怒んないでってば、怖いなぁ、もう…」
いや怒るでしょ…!!
チョロ松くんが倒れちゃったのは、おそ松くんが私のスカートをめくってきたせいなのに!
なんで私の下着が悪いみたいな話になっちゃってるんだ…!?