第5章 忘れ物
ーーーもう放課後か。
例の体操服のことが気になって気になって、授業に集中できなかったから、明日からは絶対に忘れ物をしないようにしよう。
「あのぉ…」
「ん?」
教室で帰る準備をしていると、後ろからトド松くんが話しかけてきた。
「シャーペン…ありがと」
「あ…」
小さな声でそう言って、私が返事する間もなく、トド松くんはすぐに教室から出て行ってしまっていた。
そういえば、私もトド松くんにシャーペン貸してたんだった。
今日はいろんなことがあったから、こっちが貸してたことすっかり忘れてたよ…。
「ーーー失礼します!松野チョロ松です!」
チョロ松くんの高い声が、静かな教室に響き渡る。
あ、チョロ松くんだ。
教室を出て行ったトド松くんとすれ違うように、今度はチョロ松くんが教室に入ってきた。
彼はトド松くんのことを探しに来たのだろうか。
あいにく、トド松くんさっき出て行ったばかりだから、この教室にはいないーーー
「ーーーえーい!」
「わっ…!?!」
「へっ!?!」
なんてタイミングの悪いスカートめくりなんだ。
教室の中を探し回っているチョロ松くんが、私の近くに来た瞬間に、おそ松くんはわざとなのか私のスカートを思い切り捲っていた。
普段はスカートの中なんて、誰にも見せることなんてないのに。
これで二度目だ。
しかも今回は、チョロ松くんの目の前で…。
「わ〜今日はピンクになってる〜、かっわい〜」
こ、こやつ…懲りてないな。
おそ松くんは、女の子のスカートをめくるたびに、何回も先生に怒られてるはずなのに…。
「〜っおそ松くん!!」
「そんな怒んないでよ〜、あ、俺のパンツも見る?」
「セクハラ…!!」
なんなんだ、この長男は…!!
家とは別人レベル…というか、もはや似てるだけの別人なのでは…!?
「チョロ松くんごめんね、変なもの見せちゃって……えええ!?」
不本意ながらスカートの中をチョロ松くんにも見られてしまったので、謝罪をしようとしていたら、チョロ松くんは顔を真っ赤にしながら鼻血を吹き出していた。
え、ちょっとチョロ松くん…!?大丈夫…!?
「あ…」
た、倒れた…!!!
チョロ松くんが倒れちゃった!!
ど、どうしよう!!