第4章 双子
「…なにその顔、なんか言いたげじゃん」
「いや〜別に…そんなことは…」
「僕に文句でもあんの」
「や、やだなぁ、文句だなんてありませんよ、そんな…」
「もういい。僕、勉強してくる」
「あ…」
い、行っちゃった…。
許されたわけではないんだろうけど、解放されて良かった。
これでやっと、ゆっくり出来る…。
ーーーはずだったのに。
「あの…なにか…?」
私はただ、着替えてから居間で大人しく課題をやっていただけなのに、学校から帰宅してきた長男は、手も洗わずに私に話しかけてきた。
昨日は誰にも話しかけられなかったのに、みんな急にどうしちゃったんだろう。
前世の時も、私のことは居ないものとして扱ってたのに…。
「春馬く〜〜ん、なーにしてんの?」
「…課題やってます」
「うわ〜真面目くんだ〜」
「おそ松くんも課題やった方がいいですよ」
「えー、めんどくさいから代わりにやってくんね?それか答え見せてよ春馬くーん」
「あ、あはは…他当たってください」
「ちぇー…」
な、なんなんだ、このだる絡みは…!!
暇なのか!?
松野家の長男は暇を持て余しているのか!?
だとしたら、他の弟たちの方に絡みに行って欲しいんだけど…。
弟が五人もいるんだから、絶対に誰かはかまってくれるだろうに。
わざわざ嫌いな私に絡んできて、何がしたいんだろう、おそ松くんは…。
「ねぇねぇ春馬く〜ん」
いや怖い怖い。
そんな私の名前呼びながら、肩組んで来ないでよ、おそ松くん。
私たち、そんな気軽にボディタッチするようなそんな関係じゃないでしょ。
それに、服も冷たいし、手も洗ってないしで…。
そのままじゃ本当に風邪引いちゃうよ??
おそ松くん…。
…もしかして、春馬にたくさん嫌がらせをして出て行ってもらおう、とか考えてるのかな…。
「春馬くんってさ、妹ちゃんいたんだね、紹介してよ」
…それが目的か。