第4章 双子
「先生が…?」
「てんてーが、立花って書いてある答案用紙を持ってて…」
立花って書いてある答案用紙???
それはつまり…私の答案用紙をチョロ松くんが見たってこと…!?
や、やめてくれー!!
今回のは散々な結果だったんだから…!!
「見覚えのある名前だったから、てんてーにその立花って人、うちに住んでますって言ったら」
"住んでますって言ったら"…!?
チョロ松くんは、昔からよく先生と会話してたけど、住んでることまで喋っちゃったの…!?
しかもその答案用紙、春馬のものじゃなくて立花春奈のものだと思うだから、一緒には住んでないと思うんだけど…。
苗字しか見てなかったのかな…。
「……言ったら?」
「勉強、教えてもらいなさいって言われた」
「………そ…そうなんだ」
「キミだって、テストの結果はそこまで良くなかったくせに、なんで僕が…」
「うっ」
や、やっぱり見られてたんだ。
点数までバッチリと。
先生、そういうところはちゃんと隠しておいてくださいよ…!!
見られたら困るじゃないですか!!
「こ、今回は確かに良くなかったけど…でもいつもはもっと点数取ってるから!」
「嘘つかないでよ、40点だったくせに」
うっ、私の心にダメージが…!!
で、でも事実だから言い返せない…!!
先生に40点の男よりも下だと思われていたことが、よほどショックだったのか、チョロ松くんは私の頬を指で抓りながら私に八つ当たりしていた。
「い、痛いよ、チョロ松くん…!」
「そこまで痛くしてないでしょ」
「いや痛いから…!ちゃんと痛いから…!」
チョロ松くんめ…一体私になんの恨みがあるって言うんだ!!
こ、こうなったら…仕返ししてやるー!!
…あ、チョロ松くんのほっぺ、結構柔らかい…。
「…痛いんだけど。やめてくんない?」
「チョロ松くんと、同じことしただけです。痛くないはずです」
「………」
私たち、帰宅してから着替えもしないで何やってるんだろう。
私の服、雨で濡れちゃってるから寒いんだけど…。
チョロ松くん、春奈の時は何もしてこなかったのに…。
相手が男の時だけ強気に出てくるとか、かっこ悪いぞ、松野チョロ松!!
こ、この…。