第4章 双子
ま、まずい。
今日はやけに雨が強いなぁとは思ってたけど、ついに雷まで鳴り始めちゃったよ…!!
あとちょっとで家に着きそうだったんだけど、こんな天気の中、傘も刺さないで走るのはさすがに危険だから、一旦あそこのバス停で雨宿りをしよう。
雨宿りに最適な小さなバス停。
私がいる時にタイミング悪くバスが来てしまったら困るが、近場で雨宿りができそうな場所はあそこしかなかったので、私は急いで屋根の下に入り込むことにした。
ふ、ふぅ…疲れた……ん?
い、一松くん…!?!
ななな、なんで一松くんもここで雨宿りしてるの…!?!
誰もいない静かなバス停だと思っていたのに、不意に人の気配を感じで隣を見てみたら、そこにはなんと一松くんが息を切らしながら立ち竦んでいた。
恐らく、一松くんは私と同じように傘を忘れたから、走ってここまで来たのだろう。
そして、彼もまた私と同じように雷が鳴ってるから、危険だと思ってこのバス停で雨宿りをすることにした…ってこと?
やってることがまったく同じすぎて、もはや運命レベルなんだけど…。
き、気まずい…。
「…え…?」
真横から聞こえてきた、一松くんの困惑している声。
恐らく、彼も気がついてしまったのだろう。
私と家にいる春馬が、全く同じ顔をしていることに…。
また、何か言われちゃうのかな…。
会話は控えたかったのに、ここには逃げ場がないからなぁ…。
「………」
あれ、何も言ってこない…。
もしかして一松くん、気付いてないのかな…。
似てるだけの別人だと思われてたりする…??
「………」
…それにしても、濡れたブレザーって重いなぁ。
ただでさえ生地が厚いのに…。
ブレザーだけ脱ぐかぁ…。
あと少しで家に着くし、ブレザーだけならここで脱いじゃっても問題ないよね。
あぁ、重い重い…。
「ちょ、ちょっとキミ…」
「は、はい…なにか…?」
ずっと無言を貫いていた一松くんが、いきなり沈黙を破ってきた。
ど、どうしたんだろう、急に…。
不思議に思いつつも彼の顔を見てみると、なぜか一松くんの頬は赤く染っていた。
もしかして寒いのかな。
「そ、それ…外で脱ぐのは、辞めといた方がいいと思うんだけど…」
「…え?」
それ…って、ブレザーのこと?
何か問題でもあったのかな…。