第4章 双子
「…ほんとに、アイツとおんなじ顔だ」
「…っ……」
「俺ん家に泊まってるやつと、おんなじ顔だ!!アイツ、マジで双子だったんだ!!」
いや知らずに私のスカートめくってたのかよ!!
と、思わずノリツッコミしたくなってしまったが、ここは冷静になろう。
おそ松くんはスカートめくりの無差別常習犯だ。
だから、他にも女の子がいる中で、私のスカートをめくってきたことに深い意味はないはず…なんだけど。
興味津々なおそ松くんが、私の顔を覗き込んでいる。
な、なんか近いな…距離が…。
「…キミ、名前は?」
「…春奈です」
「ふーん…」
意味深な「ふーん」やめて…。
あとそんなにこっち見ないで、おそ松くん…。
「ねぇねぇ春奈ちゃんはウチに来ないのー?親の事情で、家には帰れないんでしょー?」
「…あー…私は別の友達の家に泊まってるので…」
「あ、なーんだ、そーゆこと」
「は、はい…」
「ふーん…」
2回目の意味深な「ふーん」もやめてくれー!!
もう怖いって、さっきから!
なんかずっと距離近いし、めっちゃ顔見てくるし!!
前世と違うことされると、こっちが困惑しちゃうんですけど…!!
おそ松くんには「さっさと出てけよ」っていう言葉がお似合いだったのに…。
「…ってか雨降ってんじゃん!うわぁーまじか、傘持ってきてないのに…そだ、カラ松に傘持ってるか聞いてこよっと」
「!?」
おそ松くん、独り言すごいな。自由なのか?
ということはさておき。
今、カラ松くんって言った!?
私が行こうと思ってたのに…し、仕方ないから十四松くんに頼みに…。
…十四松くん、傘持ってるのかな。
台風の日でも、傘を刺さずに走って帰ってそうなイメージがあるんだけど…。前世でも、ちょくちょく全身濡れたまま家に帰ってきてたし…。
…仕方ない、今日は走って帰ろう。
例の薬は…学校の近くで飲んじゃったら、同じ学校の生徒に見られちゃうかもしれないから、それは後回しだ。
今はとりあえず、全力ダッシュ!!
「わっ、さ、寒っ…!」
こんな涼しい時期に、何やってるんだろう私は。
傘があれば、こんなことにはならなかったのに…。
つ、冷たいよー!!お母さーん!!
このままじゃ風邪引いちゃうよー!!
「うわっ、か、雷…!?!」