第3章 ファーストキス
「…ほんとに?」
「ほんとに!」
「…そっか」
嬉しそうにしているカラ松くんが私の腰に腕を回してきた。
か、カラ松くん…もしかしてファーストキスじゃないのかな。
それとも、カラ松くんが例の松野くんなのかな。
普段めちゃくちゃに強気なあの十四松くんですら、キスをする時は動揺してたのに…。
なんかカラ松くん、やけに落ち着いてない…?
気のせい…?
演劇部だから、冷静を装うのが上手いのかな…。
ま、まぁここでキスしてくれるなら、対応がどうであれ、私はすごく助かるんだけど…。
「………」
「……?カラ松くん?」
「めっ、目…瞑ってて」
「わ、わかった…」
「………」
「………」
………なんか沈黙が長いな…。
私の肩を掴んでいるカラ松くんの両手が、震えているような気がする。
目を瞑る直前に見ていたカラ松くんの表情は、目が燃えてて勇気に満ち溢れてたから、すぐ済ませてくれると思ってたんだけど…ま、まだかな…。
「………」
「………」
え、もしかして死んだ…??