第3章 ファーストキス
あまりにも沈黙が長かったので、心配になって閉じていた目を開けてみたら、目の前にいたカラ松くんは顔を赤くしながら涙目になってしまっていた。
「かっ、カラ松くん!?嫌なら言ってくれても良かったんだよ…!?そんな無理しなくても!」
「無理してない…!た、ただ…もっと男らしく、かっこよく、スマートに決めたかったから…」
「スマートに…??」
「ヘタレで、ごめん…っ」
震えながら、大きな涙をポロポロ流しているカラ松くんが、私の肩から両手を離して俯いてしまっている。
きっと、彼なりに『理想のキス像』というものがあったのだろう。
「だ、大丈夫だよカラ松くん!カラ松くんはヘタレじゃないよ!かっこいいよ…!」
「かっこよくない…」
「かっこいいから…!!」
ど、どうしよう。
カラ松くんがネガティブモードになっちゃってるよ!
私は全然カラ松くんのことヘタレだなんて思ってないのに…。
むしろカラ松くんのことはすごく頼りにしてるのに…!
こ、こうなったら…時間もないし、私から行くしかない!!
「ごめんねカラ松くん!!」
「え…?…ぁ……っ」
カラ松くんが拒否する隙を与えないために、私は一瞬でキスを済ませることにした。
この薬は、一瞬だけでも唇が触れ合えば戻ってくれるので、気がついた時には私の体はちゃんと女に戻っていた。
「助かったよカラ松くん!ちゃんと元に戻れたよ…!ありがとう!」
「あ……あ…」
「じゃ、じゃあ学校行こっか…!!」
「あ……」
お、驚きすぎてカラ松くんが赤いカ○ナシみたいになっちゃってるよ…。
「カラ松くん…?おーい…」
「………」
トマトになったまま、フリーズしちゃってる…。
まぁ仕方ないか。
さすがに過去に戻ってまで遅刻はしたくないし、私がカラ松くんの腕を引っ張っていこう。
「カラ松くん、行くよ…!」