第3章 ファーストキス
「す、すみません…!間違えてしまって」
「別に、間違われるのは慣れてるからいいんですけど…キミ、本当に十四松と一緒に寝るほど仲がいいんですか?」
う、疑われちゃってる…!!
私が、十四松くんとチョロ松くんを間違えたりするから…!!
「な、仲良いですよ!!十四松くんとは…とっ、友達です…!」
「本当にー?」
「ほ、本当に…」
「間違えたのにー?」
「そ、それは…後ろ姿が、似てて…」
「僕と十四松の後ろ姿がぁ?」
「う…」
責められちゃってる…!
チョロ松くんと二人きりで会話したの、これが初めてなのに責められちゃってるよ…!
メガネのせいでチョロ松くんの表情が分からなくて、尚更怖い。
多分「どう見ても全く違うだろ」って思ってるんだと思うんだけど…。
「…そんな怯えなくても、僕は別に間違えたこと怒ってませんよ、春馬さん」
う、嘘だ…!絶対に怒ってるよ!
十四松くんと間違えたこと!
だってメガネ越しにすごい圧力感じるし…顔近いし…!!
怯えている私の顔をマジマジと見つめているチョロ松くんは、「友達ねー?」と不愉快そうに、独り言を呟いていた。
怖すぎるよチョロ松くん…!
前世のチョロ松くんはもっと真面目くんって感じで怖い雰囲気なかったのに!
なんでこうなっちゃってるんだ…!?
も、もう逃げたい…。
「ちなみに、十四松とカラ松とはどこで出会っ」
「僕、学校行ってきます…!!」
「あ、ちょっと…」
ーーーチョロ松くんから逃げるように外に出てきてしまった。
しかも、手ぶらで。
通学用カバンも持たずに、外に出てどうするんだ。
これから学校に行かなきゃいけないのに…。
でも、カラ松くんと十四松くんのことを詳しく聞かれてしまったら、嘘がバレると思ったから、あの時はああするしかなかったんだ。
だから…。
「ま、待ってよ春馬くん…!なんで先に行っちゃうの…!」
「あ、か、カラ松くん…!」