第3章 ファーストキス
「ご、ごめん、おそ松兄さん…」
「…まぁまぁ、おそ松兄さん、そんなに責めなくても、もう泊まることは決まってるんだから受け入れようよ」
「はぁ?なんでチョロ松はもう受け入れてるわけ?ソイツと一回も会話してないよね、今日」
「…してないけど、寝る場所なんてここくらいしかないんだからさ、仕方なくない?」
「仕方ないだぁ??」
おそ松くんとカラ松くんが言い争っている間に割り込むように、チョロ松くんが会話に入り込んできた。
きっと、チョロ松くんは私のことを受け入れたのではなく、無駄な言い争いだと思ったから入り込んできたのだろう。
こ、困ったな…。
私としては、別々の方が嬉しいんだけど…。
でもお母様に「一緒に」って言われちゃったからなぁ…。
「…もういい、好きにしたら」
…あれ?おそ松くん?
「はぁ?もういいって…自分から言い出したくせに…」と、チョロ松くんは呆れたように独り言を呟いていたが、これはどういう状況なのだろうか。
おそ松くん…納得してくれたってこと?
本当に?
早く出てけよオーラ半端ないのに…。
ま、まぁ受け入れてくれたなら、別にいっか…。
「…でも、ソイツは誰の隣で寝んの?カラ松の隣?」
「…え?」
そ、そういえば、決めてなかったな…。
うーん、誰の隣で寝たらいいんだろう…。
「…決めてなかったのかよ」
ごめんなさい、おそ松くん…。
私もみんなと一緒に寝るとは思ってなかったから、何も考えてなかったんです…すみません…。
「ぼ…僕の隣でもいいかな、春馬くーーー」
「ーーー待てよカラ松」
「な、なに?おそ松兄さん…」
「カラ松の隣で寝るってことは、必然的にソイツは一松かトド松の隣で寝るってことになるけど、二人はそれで大丈夫なの?」
「「え…?」」
そ、そうなんだ。寝る時の並び順みたいなの、ちゃんと決まってたんだ。
仲が悪くなっても、決まった並び順で寝てるの、ちょっと微笑ましいけど、今は呑気にほっこりしてる場合じゃないな。
さっきまで安心してたけど、やっぱり私…めっちゃ邪魔者じゃん…!!
ま、また罪悪感が…。
「僕の…隣…??」
小柄なトド松くんが、私に怯えながら私の顔を見つめている。
すごいウルウルな涙目だ。
え…もしかして、泣く…??