第3章 ファーストキス
「ほ、本当に触らせてくれるの?」
「男に二言はねぇ」
い、言ってることはかっこいいけど…十四松くん、私の中身が女だってこと忘れちゃってるのかな。
「あの…十四松くん、一応ここ、外なんだけど…」
「どこで見せても変わらねぇよ」
いや変わるでしょ!!絶対に!!
人に見られちゃったらどうするんだ…!!
まぁでも、外なら襲われる心配がないから、むしろ私からしたら助かる話だけど…風邪引くよ…??
「ん、ほら触ってみろよ」
そう言って、十四松くんは服を胸元までたくし上げていた。
し、仕方ない。
もうあとには引けないから、触ってみるとするか…。
「…あ、ほんとだ、柔らかくない…」
「だろ?」
「う、うん…」
何やってるんだろう、私…。
「…十四松、そんなところで何してんの?」
「…チョロ松兄さん」
チョロ松くん、私たちの後ろに居たんだ。
全然気が付かなかったよ…。
もしかして、一部始終見られちゃってたのかな…。
「そんなところでお腹出してたら、風邪引くよ」
「俺はそんなヤワじゃねぇよ」
「強いから風邪なんて引かねーし」と言いながら、十四松くんは私の手を掴んで、自宅まで走っていた。
相変わらず、会話の少ない兄弟たちだ。
二人とも態度が冷めてるし…。
でも、チョロ松くんのおかげで、十四松くんのお腹を触ることからは解放されたから、良かったことにしよう。
ありがとう、チョロ松くん…。