第1章 過ち
「ーーーっていう、わけがありましてですね…」
「…つまり、これからは家族みたいにアンタがうちで寝泊まりするようになるってこと?」
「は、はい…そうです…」
「…ふーん」
う、おそ松くんがちょっと嫌そうな声出しちゃってるよ。
でもこの感じからして、おそ松くんは例の松野くんではないのかもしれない。
例の松野くんは「ずっと好きだった」って言ってたから…おそ松くんの場合、「ずっと嫌いだった」が正解だもんね。悲しいことに。
「あっそ、好きにしたら。俺には別に関係ないことだし」
「ありがとうございます…」
か、関係ないしとか言いつつも、嫌そうな雰囲気が滲み出ちゃってるよおそ松くん…!!
でも「嫌なんだけど」とか「来んなよ」とか言われなくて良かった…。
「じゃ、俺帰るから、ソイツのことはお前らが連れて来いよな」
そう言っておそ松くんは、私たちから離れて行ってしまっていた。
この頃のおそ松くん達は仲が悪かったから、私が泊まることになっても、基本的にはあまり気にしていないのだろう。
赤の他人が家に住むようになるとか、思春期のみんなからしたら、かなり大変な事件だろうに…。
あっそで済ませてくる辺り、おそ松くんも優しいのかもしれない。
「か、カラ松くん、ありがとね!薬持ってきてくれて…」
「う、ううん、ちゃんと効果があってよかったよ」
「…で、どーすんの?その薬…キスしないと戻らねぇんだろ?」
「あ…」
そ、そうだった!!
焦って飲み込んじゃったけど、キスしないと戻らないんだった!!
しかも、副作用アリとか怖すぎるんですけど…!!
今からでも、なかったことに出来ないのかな!?!
死にたくないよー!!お母さーん!!