第3章 A…
マジ…か…
仕事だって割り切ってはいるのは分かる。
分かってるけども、正直なこと言えば、いくら仕事とは言えそこまでする必要ある?
僕には絶対無理!
…ってことで、胸スリスリ女の誘いは、丁重にお断りしつつ断固拒否の姿勢を貫いた。
だって仕方ないじゃん?
僕は女より男の方が好きなんだもん。
それは曲げようもない事実なんだし。
僕達を乗せたゴンドラが地上に着いても、ずーっと仏頂面でブツブツ言い続けた彼女は、それ以降一切僕には触れては無かった。
結果、当然だけど空気は最悪で…
「私達トイレに…」って言って、二人連れ立って行ったっきり、彼女達が戻って来ることは無かった。
「なあ、どうする?」
「何…が?」
錆びついたベンチに腰を下ろした翔が、手に持っていた缶コーヒーを一気に飲み干し、数メートル先のごみ箱に投げ入れた。
「多分アイツ等戻って来ねぇしさ、このまま帰るかそれとも…」
「それ…とも、何?」
「せっかくだし、俺等だけで楽しんじゃう?」
サングラス越しで、細かな表情までは分かんなかったけど、そう言った翔の顔が一瞬キラッと輝いたような気がして、何故だか分かんないけど、僕の心臓がドクン…と脈打ち…
ついでに、僕の中で湧き始めていた疑念が、確信に変わった。