第2章 R
早速腕捲くりをした僕は、シンクに残っていたグラスを、それはそれは手際良く洗い、乾いた布巾で拭いた後、グラス類専用の冷蔵庫に仕舞おう…としたけど、止められた。
何でも、指紋一つ残ってちゃなんないらしく、グラス一つ一つを確認しなくちゃなんだってさ…
めんどくさ…
多分顔にも相当出てと思う。
けど一応“仕事”だからさ、そこはきっちり…滅茶苦茶ピカピカに磨き上げてから、グラスを冷蔵庫に並べた。
はぁ…、疲れた…
僕はシンクに片手を着いて、俄に疲労を感じ始めた腰を叩いた。
「これくらいで音上げてんじゃねぇよ」
「し、仕方ないじゃん、慣れてないし…」
それにこんなヒールの高い靴履いてたら、普通に疲れる。
「まあ、そっか…」
そう言って翔は壁に凭れ、シャツの袖を捲った筋肉質な腕を組んだ。
「ところてお前に一つ確認なんだけど…」
「は、はあ…」
昨日の夜、散々聞かれた気はするけど、お互い酒も入って足し…な?
「お前…童貞…じゃないよな?」
「え、ええっ?」
まさかそんなこと聞かれるとは思ってなくて、手に持ってた布巾を落としそうになったけど、翌々考えてみたらそうだよね?
だってホスト…なんだもん。
ただ…な…、どう答えたら良いもんか…