第2章 R
僕達と大量の荷物を載せた車は、ネオンがキラキラチカチカした街に、まるで吸い込まれるように入って行く。
それまでは無かった喧騒と、派手な身なりの人達が行き交うのを見ていると、いかにも〝夜の街〟って感じがして…
こんな僕でも、ほんのちょっとの緊張を感じた。
「はい到着」
テナントの看板がいくつも掛けられたビルの前で車が止まり、スライドドアが自動て開く。
「先行ってるぞ?」
「うん、オレ車停めてから来るから」
「あんま遅くなんなよ?」
「分かってるってば」
雅紀が唇を尖らせて言う…けど、その顔はやっぱり爽やかな笑顔のままだ。
「ほら、行くぞ」
「あ、う、うん…」
翔に続いて車を降りた僕は、改めてビルを見上げた。
「なあ、あれは?」
「ん?」
「あの、No.1とかなんとかって…」
「ああ、あれか…」
翔は僕と同じようにビルを見上げながら、デカデカと掲げられた看板ポスターについて説明をしてくれた。
でも僕には良く意味が分かんなくて…
そりゃそうだよね…
これまで、こんな世界とは全く無縁に生きてきたんだからさ…
「お前、目指してみねぇか? No.1を」
だから、真顔で言われたところで、全然ピンとは来なかったんだ。