第2章 R
スーッと運転席側の窓が開き、顔を出したのは“爽やか”を絵に描いたような、翔とはまた違ったタイプのイケメンで…
「お待たせ〜」
しかも声がデカい!
「遅せぇよ、お前…」
「ゴメンゴメン」
苛立ち気味に言われ、謝罪の言葉を口にはするけど、その顔はやたらと明るい笑顔で…
「本気で悪いと思ってねぇだろ…」
「あ、分かる? だってさ、オレだってけっこう忙しいんだよ? 新人の研修でしょ? それから…」
窓から顔と手を出し、遅くなった理由を指折り数える男に、流石の翔もガクッと肩が下がる。
「分かったから、さっさとトランク開けろ。重くてしょうがねぇ」
は?
荷物持ってんの、僕なんですけど?
アンタ手ぶらじゃん?
「あ、ちょっと待っててね、今開けるから…ってゆうか、その子は?」
「コイツか? コイツは智っていって…」
男と翔の視線が、ほぼ同時に僕に向けられる。
「あ、もしかして新人?」
「まあ…、そんなとこかな」
翔がハッチバックを開け、僕の手から紙袋達を引き取ると、荷物で一杯のトランクの隙間に押し込んだ。
つか…、物多過ぎじゃね?
漸く両手が空いた僕は、差し出されたままの雅紀の手に、しっかり力の抜けた自分の手を重ねた。
「ども…」と、軽く頭を下げながら…