第2章 R
「けっこう買ったな…」
服やら靴やら…、それから下着やら何やらを買い、店を出た僕達は、両手一杯の紙袋を手に立ち尽くした。
「どうすっかな…」
どうするってさ、自分があれもこれも買えって言ったんじゃん?
「マンションまで置きに帰ってる時間はないし…」
「持ってっちゃ駄目なの?」
「駄目ってわけじゃないけど、邪魔じゃね?」
まあ…、確かにそうだけども。
「あ、そうだ…、ちょっとこれ持ってろ」
暫く考えるこんでた翔が、何かを思いついたように顔を上げ、持っていた紙袋を僕に押し付けた。
そしてポケットからスマホを取り出すと、どこかへ電話をかけ始めた。
「あー雅紀か? お前今日車出勤するって言ってたよな? 悪いけど頼まれてくんね?」
ってか、雅紀って誰?
出勤って言うくらいだから、翔の店で働いてるホスト…なんだよね?
要件だけを告げて電話を切った翔は、僕に荷物を押し付けたまま、煙草を口にくわえた。
吸い込んだ煙を吐き出し、また吸い込んでは吐き出して…
また路上に捨てる…のかと思ったら、ポケットから取り出したのは携帯灰皿で…
じゃあ何でさっきポイ捨てなんかしたんだよ!
って問い詰めようとしたところに、一台の黒塗り高級車がクラクションを鳴らした。