第2章 R
タクシーで公園まで乗り付けた僕は、顔馴染みのおっちゃん達と挨拶を交わしながら荷物を纏め、布団代わりにしていた段ボールやらなんやらをゴミ置場へと運んだ。
どうせまた誰か…そう、僕みたいに行く宛のない人が使うんだろうけど…
ってかさあ、金持ってる奴ってのは、何で近距離にも関わらずタクシー使いたがるんだろうね?
僕にはさっぱり分からないや…
「荷物はこれだけか?」
「うん」
僕が公園から出るのを、タクシーに寄りかかるようにして待っていた翔が、煙草を地面に捨て、尖った靴先で揉み消す。
ってか、ポイ捨て禁止!
「で、これからどこ行くんだっけ?」
僕が乗り込むのを待って、タクシーのドアが自動て閉まる。
「当面の着替えとか、必要なモン買って、それからヘアメかな」
「ふーん…ってか、ヘアメって?」
「ヘアメイクのことだろうが…」
「あー、そう言うこと? …って、化粧すんの?」
髪とかはさ、まあ想定内だったけど、まさか化粧までされるとは思ってなかったかも。
「あのなぁ、ホストってのは見た目が重要なわけ」
「はあ…」
「勿論、接客術とかも必要ではあるけど、そんなもんは後からのことで、最初は見た目から入るのが殆どだからな」
ふーん…、やっぱり僕には良く分かんない世界だ。