第2章 R
「さて、と…」
準備を整えた翔が、フッと息を吐き出してから、僕に向かって高級ブランドのバッグを僕に向かって投げて寄越した。
「な…に…?」
「何って、お前居候なんだし、荷物持ちするくらい当然だろ?」
「は、はあ…」
そりゃそうだけどさ…、ちょっと重くね?
まあ…でも、仕方ないか。
家賃払えって言われたって、現状無理なわけだし、やれることするしかないしね?
「て、これからどこへ?」
僕が知ってるホストって、外が明るい時間に出かけてる印象無いんだけど。
「まずは、お前の定宿寄って荷物回収するだろ? それから軽く買い物して、ヘアメ寄ってから店…かな」
成る程…って、定宿ってひょっとして公園…のことだよね?
正直、たった一晩とはいえ、荷物置きっぱなのが気になってはいたから、公園寄ってくれるのは嬉しいかも。
「よし、行くぞ」
「は、はい…」
車のキーリングを指にかけ、クルクルと回しながら、スリッパをペタペタと鳴らして玄関へと向かう。
その後を、僕も同じようにペタペタと音を鳴らしながら、小走りで後を追った。
「靴は…これでも履いとけ」
そう言って出されたのは、若干ヒール高めのこれまたテカテカの靴て…
履いた瞬間、僕の目に映る世界が、いつもより少しだけ変わって見えた。